ご挨拶
令和3年7月1日
一般社団法人 東京産婦人科医会
会長 山田 正興
会長 山田 正興

東京産婦人科医会は、昭和23年(1948年)12月に当時の優生保護法の適正な運用を図るために「東京母性保護医協会(東保)」として発足しました。望まぬ妊娠や性暴力被害等が発生することは避けられない事実です。日本の刑法には、堕胎罪の規定があるため、女性の生命・健康を守るために、人工妊娠中絶術の違法性を阻却する必要がありました。このため、昭和23年(1948年)6月に優性保護法が成立しましたが、人権問題視される優性学的思想に基づいて規定された条文があるため、その削除と名称の変更が求められました。このため、平成8年(1996年)に現在の母体保護法が成立し、本会も「東京産婦人科医会」に名称が変更されました。

2019年12月に中国湖北省武漢で「新型コロナウィルス感染症(COVID-19)」が発生し、瞬く間に世界中に広がりました。日本においても2020年1月にCOVID-19が報告され、その後急速に全国に広がりました。このため国は、2月末に全国の小学校、中学校、高等学校に対し、一斉に臨時休校を要請しました。さらに、政府は医療供給体制の逼迫を受けて、初めて4月7日から5月6日までの1か月間、7都道府県を対象に特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を発令し、外出自粛要請や施設の使用禁止といった私権の制限を伴う措置が行われました。しかし、その後もCOVID-19の感染拡大に歯止めがかからず、7月には「第2波」、11月には「第3波」が襲来。そして2021年1月には変異株ウィルス等による蔓延のため2度目となる「緊急事態宣言」が発出されました。感受性対策の基本となるワクチンは、2021年4月から新しく開発された「m-RNAワクチン」である新型コロナウィルスワクチンが輸入され、医療従事者を皮切りにその接種が始まり、今では各地域に大規模接種会場を設け、希望する国民への接種が急速に進んでいます。

COVID-19の流行は、妊娠・出産・子育て中の当事者に大きな影響を及ぼしています。2020年度の出生数は87万2683人と過去最低となり、少子化を加速する結果となりました。妊娠・出産・子育てには、様々な不安を伴いますが、100年に一度とも言われる新型コロナウィルス感染症の正しい、正確な情報を発信し、妊婦さんたちに安心・安全を届けていかなくてはなりません。

2018年12月に「成育医療等基本法」が成立しました。この法律では、すべての妊婦、子どもに妊娠期から成人期までの切れ目ない医療・教育・福祉を提供することの重要性を定め、国や地方公共団体、関係機関に必要な施策を実施する責務があると明記しています。新たな命を育むことができるよう子どもたちに正しい知識を醸成する教育制度の充実。すべとの妊婦が安心して出産を迎えることができる環境の整備。周産期で揺れる精神的なトラブルの回避等をはじめとして、私たちが取り組まなければならない課題は多岐に及びます。

私たち産婦人科医を取り巻く環境は大きく変化し、様々な課題が山積しています。これまで以上に会員の皆様のご支援、ご協力を心からお願い申し上げます。